年一回発行される特別編の2020年度版で、六つのエピソードがオムニバス形式で収録されている、一種のアンソロジー本。
今回の2020年度版では、メタルウイルスに関わる、本編の裏側で起きた出来事が描かれている。
また、カバーAは昨年に引き続き、ソニックチームが担当しているのも、ポイント。
イラストレーターは、ソニックチャンネルで公開されている、イベントイラストを担当しているYui Karasuno氏である。
Big's Big Adventure<ビッグ&カエルくん編>本編の裏側に紛れ、ビッグのカエルくんを探す旅路を描いた短編。
前半部については、プレビュー記事と重複するところも多いので、そちらを参考にしてください。
STH Annual 2020 プレビュー本編で描かれたエピソードの舞台に、実はカエルくんを探すビッグも訪れており、この辺りは、ソニックチャンネルで公開されている、ビッグがこっそり潜んでいるイベントイラストを基にしているのかなと言ったところですね。
また、ここまでの振り返りやおさらいとも言える内容になっていますが、メタルウイルスが蔓延し始め、徐々に不穏となっていく世界を、ビッグの視点から描かれており、STH 022にて、レストレイション本部の避難所でカエルくんを探すビッグらしきセリフがありましたが、それが本人であると明らかとなっています。
ゾンボットによって、避難したレストレイション本部が壊滅したものの、ビッグはカエルくんが見当たらないため、それよりも先に抜け出しており、難を逃れていた様子。
そして、スパイラル・ヒル・ビレッジ周辺でついにカエルくんと再会した(釣り上げた?)ビッグではありますが、すでにメタルウイルス、そしてゾンボットの魔の手は二人に迫っており、襲われてしまいます。
何とか、ゾンボットを釣り具で追い払うことに成功したビッグとカエルくん、しかし、カエルくんはゾンボットに触れてしまい…
最後はビッグがメタルウイルスのによって変わりゆく目の前の世界を見つめながら、すでにゾンボットと化してしまったカエルくんを抱き、『君と一緒に居て幸せ』と言うのでした…
本編ではいつの間にか、ゾンボットとなっていたビッグとカエルくん、個人的にSTH 022でメタルウイルスに感染してしまったと思っていましたが、実は無事に脱出しており、そのままカエルくん探しを続けているのには驚きました。
とは言え、ネオメタルソニック編からメタルウイルス編へ以降していくと、世界観が一気に不穏となっていき、心に突き刺さるものもありましたよ。
最後も、ビッグらしいと言えばそうなのですが、ビッグだからこそ、優しくも切ない終わり方になっていると思います。
Darkest Hour<ナイト&ドン編>このアニュアル2020で初登場となった、コミックオリジナルキャラクターであるナイトとドンの奮闘を描いた短編。
STH 019とSTH 020の舞台となったサンセットシティで、ラジオ放送を行っているナイト・ザ・アウル、そのナイトのラジオ放送局で使用人を務めているドン・ザ・ルースター。
日が暮れ始め、ドンにあれこれ言われながらも、いつものようにラジオ放送を開始するナイトでしたが、リスナーからSOSを知らせるコールが。
リスナーの言葉から要領が得ないナイトは、最初は警察に連絡したほうがいいのではと答えるも、全く繋がらないとの状況。
その後、ただならぬ状況で、リスナーからのコールが途絶えると、ドンは今なら車で脱出できるとナイトに提案するものの、ナイトには、サンセットシティでナンバーワンステーションとの自負があり、この場に留まり、情報を収集すると言い、ドンの言葉を断ります。
そこに、救助活動に来たレストレイションと合流したリスナーのコールが入り、メタルウイルスとゾンボットのことを知り、そして、大規模な通信手段を持ち合わせていないレストレイションに代わり、避難所への案内や市民とレストレイションの通信の橋渡し役をお願いされます。
脱出しようと思っていたドンでしたが、ナイトのラジオで発した言葉により、ラジオ放送局に戻ると、最後の最後までサポートすることを決意。
ナイトも、レストレイションが、ゴールドフリッキーホテルに避難民を集めていることを放送し、一人でも多くの市民を救おうとしますが、すでにゾンボットはラジオ放送局の直前まで迫っており…
このタイミングでコミックオリジナルキャラクターの登場です!
ナイトはフクロウ、ドンは雄鶏(オスのニワトリ)ですね。オールナイトでラジオ放送するナイトに対し、夜には強くないドンと、それぞれのキャラクターが現れています。
STH 019にて、ゴールドフリッキーホテルに多くの避難民が集まり、脱出に成功したことを考えると、彼らの奮闘が功を奏したと言えるでしょう。
しかしながら、最後のシーンから察するに…彼ら二人に再登場の機会はあるのか!?
Reflections<メタルソニック編>メタルソニックの行動が描かれた短編。
ほぼセリフはなく、メタルソニックの行動のみが描かれた、かなり特殊なエピソードです。
メタルウイルスの保管庫にて、メタルウイルスを触れようとするも思いとどまるメタルソニックだったが、意を決して、メタルウイルスに触れてみるものの、機械であるメタルソニックに、メタルウイルスが感染するわけもなく、何事も起きない。
と思われたが、メタルソニックに何かしらの影響を受けたような演出が入るのが凄く印象的です。
最後にスターラインから出て行くように言われ、立ち去るメタルソニック。
スターラインは思わず、『ゾンボットのように私の研究所を徘徊するのがエッグマン様の最高傑作とは』と愚痴を漏らしますが、メタルウイルスによって、何らかの影響を受けているとするなら、少し気になるところではあります。
メタルウイルスに触れたメタルソニックの変化は、今後、どこかで描かれるのか、非常に気になるところですね。
Eggman's Day Off<スターライン&エッグマン編>フェイスシップでの、スターラインとエッグマンのやり取りを描いた短編。
ワープストーンの力によって、様々な場所を見ていたスターラインでしたが、突如、エッグマンが苦しむ様を見つけ、急いで駆けつけるが、エッグマンは何と言うこともなく、スターラインの早とちり。
この場所はエッグマンが休息として過ごす、エッグケイブと名付けられた場所で、エッグマンの聖域とも言える場所。
世界征服を達成するために、色々なアイディアを出す場所とも言えるようで、エッグマンは調子良く、スターラインに休日の過ごし方を語ります。
まるでゾンボットをイメージしたような、メタル化したエスピオとテイルスをイメージしたフィギュアがあり、エッグマンも今後の展望を嬉々として続けて語るものの、スターラインは、まるで自分がメタル化したような姿のフィギュアを見つけてしまい、エッグマンとの間に微妙な空気が…
気まずくなったエッグマンは、『今日はもう休日じゃ』と言い切り、スターラインを追い出してしまいます。
スターラインは、怪訝な表情を浮かべながら、部屋のドアを見つめ、その場を後にする…
本編ではすでに決裂してしまったスターラインとエッグマンの、まだ蜜月な関係だった頃の出来事だとは思いますが、スターラインが今日は休日だと言うエッグマンに対し、『午後から説明をしてくれる約束だったのでは』と言っているあたり、スターラインがエッグマンに見切りをつける、ひとつのきっかけとも言える出来事だったのかもしれません。
STH 025で、エッグマンとメタルソニックに捨てられたスターライン、本編においては行方不明となっていますが、ミニシリーズの『バッドガイズ(Bad Guys)』では主役を務めるようなので、彼の奮闘も期待したいところです!
『バッドガイズ』はその名の通り、スターラインの他に、ラフ&タンブル、ミミック、ザボックと、ここまで登場した悪役が総登場するようなので、STH 015で落とされたあの深い縦穴から正気に戻ったラフ&タンブルがどうやって脱出したのか、タングル&ウィスパーで牢獄に入れられたままメタルウイルスの騒動で放置されてままであろうミミックがどう過ごしていたのかなど、その辺りも描いてほしいところですね。
Flock Together<カオティクス探偵事務所編>ベクターとエスピオがゾンボットと化したチャーミーとの再会を描いた短編。
STH 022の直前、パイン・ブローブ・ビレッジでの避難民を収容し、レストレイション本部へと戻る最中での出来事である。
チャーミーのことを思うと冷静になれないベクターだったが、一方のエスピオは落ち着きはらっており、焦るベクターに対し、まずは避難民の安全が第一を言葉を続ける。
しかし、ゾンボットと化したフリッキーの群れが、シャトルの進路上に現れ、しかも、その群れを率いているのは、STH 017でメタルウイルスに感染し、ゾンボットと化したチャーミーだった!
これ幸いと、シャトルから飛び出し、チャーミーを捕まえようとするベクター。無策で飛び出したがために、なかなか、チャーミーを捕らえることはできません。
逆に後ろからフリッキーたちが近づき、ピンチになるも、ここはエスピオがけむり玉でフリッキーたちを撃退。
このけむり玉がフリッキーたちに効果があると気付いたベクターは、背中をエスピオに任せ、チャーミーが率いるフリッキーの群れにけむり玉を投げ込んで突撃します。
けむりが晴れ、エスピオが見たのは、無事にチャーミーを捕らえたベクターの姿!
ベクターはカプセルの中に収めたチャーミーを抱きかかえてシャトルに戻ると、『ゾンボットの破壊の中でもカオティクスは探し物を見つけるぜ』と言うのでした。
STH 017でチャーミーを止められなかったことを深く後悔しているベクター、自分たちは探偵のため、お互いに探していればいずれ出会うはずと言うエスピオ、そして、必然か偶然か、二人が乗ったシャトルを襲撃したチャーミーと、カオティクス探偵事務所の絆の深さを感じられるエピソードとなっています。
しかしながら、このシャトルの中に、レストレイション本部壊滅のきっかけとなる、すでにメタルウイルスに感染していた避難民が居たと思うと、皮肉なものですよね…
The Catalyst<スパイラル・ヒル・ビレッジ編>ジュエルの視点から、スパイラル・ヒル・ビレッジがメタルウイルスに進行される状況を描いた短編。
スパイラル・ヒル・ビレッジの中心広場では、タングルに助けを求める少年が!
この少年はアニュアル2019のソニックファンクラブ編で描かれた、ソニックファンクラブの自称リーダーであるシカ少年!
ソニックファンクラブについては、アニュアル2019のエピソードガイドに詳しく書いていますので、そちらを参考にしてください。
STH Annual 2019 エピソードガイド今はレストレイションの手伝いのため、不在となっているタングルの代わりにジュエルが、シカ少年の助けを聞くことに。
ソニックファンクラブは近くの農場で集合していたが、謎の船に襲われ、離れ離れになってしまった模様。
道中、誰も見つけることはできなかったものの、二人に助けを求める声が!
その声の正体は、ソニックファンクラブの一員でもあるオオカミ少女で、彼女の周りには、光沢のある謎の液体が…
その謎の液体が何であるのか、タングル(レストレイション)から詳細を聞いていたため、シカ少年に触れないように言うジュエル。
オオカミ少女を助けたジュエルは、まず家に帰ることを提案するも、目の前にはメタルウイルスの粘液を投下するフェイスシップが!
逃げる三人の道中には、ソニックファンクラブのメンバーが居るものの、すでにゾンボットと化しており、気付かれる前に立ち去るしかなかった。
何とか、スパイラル・ヒル・ビレッジまで帰って来た三人。
しかし、ジュエルの両手にはメタルウイルスの粘液がついており、シカ少年もオオカミ少女も、興味本位からすでにメタルウイルスの粘液に触れていたのだった。
その後、ジュエルから助けを求める通信を受けて、スパイラル・ヒル・ビレッジに帰って来たタングルは、ジュエルを心配して鉱石博物館へと訪れるのだが、その後ろには…
STH 022でタングルがジュエルから通信を受けたシーンがあり、STH 024でタングルがメタルウイルスに感染した経緯が語られていましたが、今回、その状況が詳しく掘り下げられたと言ったところでしょうか。
また、ジュエルがソニックファンクラブのシカ少年とオオカミ少女を助けているシーンは、ビッグ&カエルくん編にも、ワンカットだけ描かれていましたね。
ソニックファンクラブのメンバーたちが再登場したのは悪くないですが、物語の展開は凄く重たいです。
願わくば、元気となったソニックファンクラブのメンバーたちの姿を、今後、描かれることを期待したいところです…!
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