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FastLane

このブログは主に、IDWにて取り扱われている、ソニック・ザ・ヘッジホッグのコミックを、日本語で紹介しているブログです。記事の更新は完全に終了しました。

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死んだ世界

以前、ウェブ拍手にて公開していた『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』のダークエンディングである『ALMOST DEAD』をイメージした短編モノ。
物語は、エンディング1か3の後と言うよりも、ラストエピソードにおいて、シャドウがデビルドゥームに破れ、精神を壊され、ブラックアームズの尖兵とされていると言う感じです。
あの時、シャドウには、彼を支える仲間が居たからこそ、自分自身の過去を乗り越える事が出来たと思いますが、もし、それがなかったのなら、こんな世界が出来上がっていたのかもしれません…
あれから、幾日過ぎたのだろうか?
すでにこの世界では、経過した日数すら数える者はいない。
突如として現れた地球外生命体の侵略によって、世界は蹂躙され、破滅の一途を辿っていった。
その地球外生命体の軍団の中心には、黒きハリネズミが居た。
かつて、彼を“世界の救世主”と呼んだ者も居たが、すでにそう呼ぶ者は居ない。
精悍だった彼の瞳は虚ろで焦点があっていないように見え、艶やかな黒い毛並みだったその姿も、返り血がこびり付き、まるで錆が浮いているかのようだった。
過去の彼の姿を知る者は、その時の見る影もない彼の姿に驚き、過去の彼を知らぬ者は、悪魔のようなその姿に恐れおののく。
だが、彼のその姿を他の者に伝える事など出来ない。
なぜなら、彼を見るという事は、次の瞬間、逃れられぬ死の運命に晒されるからだ。
「そうだ。それで良い、シャドウ。この世界こそがお前の愛したマリアの願いだろう?」
地球外生命体の軍団を率いる首領に、シャドウと呼ばれた黒きハリネズミは、“マリア”と言う名前に反応した。
『マリア?マリアって誰だ?』
自分の記憶の奥底に、確かにその名前は存在するのだが、何に関連した名前なのかが分からない。
おぼろげながら、少女の面影を見た気がしたが、今の彼にとってどうでも良い事だ。
目の前には、自分を見て、逃げ惑う人間が存在する。
シャドウはいつものように、腕を高くあげ、光の矢を彼らに向けると、まるでゴミを片付けるかのように無造作になぎ払う。
そして、その体に新たな錆を作り出すのだった。



すでにこの世界を救ってくれる天国もなければ、祈るべき神すら存在しない。地獄すら冗談かのようだ。
死ぬ事も出来ず、生きているとも言い難い。
もしかしたら、この世界は死んでいるのではなく、死に損なっているだけのかもしれない。

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